研究現況

2015年度の研究

  1. 非接触給電
  2. 永久磁石形同期機・リニアドライブ
  3. 鉄道車両の電気駆動制御とエネルギー
  4. 生体機構を取り入れた運動制御・磁気浮上

非接触給電

電気鉄道の静止形非接触集電システムの提案と車上コイルの位置センサレス補正

ラ シガン

非接触給電は、伝統の鉄道給電方式より、低コストと高安全性のメリットがある。この研究には、鉄道用停車 中非接触給電装置における送電・受電コイルの相対位置をセンサレスで推定する方法について提案する。この相対 位置推定法は非接触給電コイルの位置制御に応用することができるもので、シミュレーションによって有用性を確 認した。そして、一次及び二次コイル間の磁気結合情報を用いたセンサレスコイル位置検出方式基づて、電気鉄道 非接触給電のコイル位置ずれ補正をする模擬実験装置を製作し、基本的な測定を行った,さらに、ギャップ偏差に対 する耐性を向上させる位置検出方法を考案した。位置決めとギャップ耐性改善の性能が検証された。

複数送電コイルを有する走行中非接触給電システムの特性解析と送電側電圧電流情報による効率最大化制御

成田 大輝

非接触給電システムは,配線が困難,あるいはその煩雑性を取り除きたい場面における給電手法として期待され, 研究開発が行われてきた. 走行中非接触給電システムへの応用において,送電側を大きな 1 つの長縦方向距離のもののみとすると,受電側 がない場所に送電側の高周波電流を流すこととなり,銅損に伴う損失の増加や,漏洩電磁界による周囲への影響が 発生しうる.そこで,受電側が存在する場所にのみ電流を流すことを可能とする,送電側を複数のものへ分割し, そのうちいくつかを並列して利用するシステムについて検討を行った. 本研究では,複数の送受電コイルが存在するシステムを,単一送受電コイルのシステムとして計算する手法や, それを利用した効率の最大化条件を導出した.複数受電コイルが存在する場合,すべての負荷インピーダンスが等 しいこと,また複数送電-単一受電システムにおいて,送電側の電圧比を相互インダクタンス比とするとき,最大 伝送効率となることを理論的に示した. そして,走行中給電システムへの応用を考慮に入れ,複数送電-単一受電システムにおける伝送効率や受電電力 の,送電側電圧比や負荷抵抗値との関係について,数値計算及び実験において検証を行った.その結果,2 送電-1 受電の非接触給電システムにおいて,電圧比の伝送効率へ与える影響が強いこと,負荷インピーダンスが高い場合 においてその影響が緩和されることを示した. さらに,複数送電-単一受電システムにおける効率最大化制御法として,位置センサや相互インダクタンス値の 情報を利用しない,送電側の電圧・電流情報を利用した電圧比の制御法を提案し,受電側が静止している場合,及 び動いている場合について,回路計算による検証を行った.その結果,受電コイル固定時は,数回程度の計算で送 電側の電圧比が相互インダクタンス比へ,また受電コイルが低速で移動している,すなわち計算する場面ごとの相 互インダクタンス変動が小さい場合については,送電側電圧比を相互インダクタンス比へ追従させることが可能と なることを示した.

永久磁石形同期機・リニアドライブ

波力発電用永久磁石界磁リニア同期機の電気出力最大化制御

下田隆貴

波力エネルギーを活用するために,様々な方式の波力発電が考案されており,特に振動水柱型,可動物型そして越波 型などは他に比べて研究開発が進んでいる。本研究では可動物型の一つであるポイントアブソーバ式を扱う。発電 機としては永久磁石リニア同期発電機 (Permanent Magnet Linear Synchrnous Generator, PMLSG) を扱う。 波力発電の研究開発黎明期から,一浮体式のポイントアブソーバのための複素共役制御は多く研究されている。しか し現実に実証試験の段階まで進んだほとんどのポイントアブソーバは二浮体を用いたものである。 二浮体の研究については,機械出力を最大化する複素共制御は提案されてはいるが,肝心の電気出力を最大化する複 素共役制御は未だ導出されていないという問題がある。 また制御時の系の安定性を考慮した研究は多くなく,特に系の安定性を陽に考慮した複素共役制御の研究は少ない。 そのため制御時に系の安定性が十分に確保されていないという問題がある。 本論文では以上の二つの問題点を解決するような制御法を提案し、シミュレーションにより提案手法の有効性を示 す。

波力発電用リニア同期発電機の特性試験と発電量を最大化する制御法

郭 瑞娟

海洋発電への応用を想定した永久磁石式リニア同期モータ等価回路同定のための試験法を論する。電機子抵抗 や内部起電力は従来法に準拠した方法で測定可能だが、d 軸,q 軸インダクタンス測定に短絡試験法適用できない。 ここでは可動子を固定し可変周波数の単相交流電源を用いたインダクタンス測定法を提案し、数値算,実験例を用 いて詳細を説明する。

鉄道車両の電気駆動制御とエネルギー

鉄道電力負荷低減に向けた運行計画最適化と列車群運転電力制御の研究

渡邉 翔一郎

研究ではエネルギーの観点から持続可能な交通手段(Sustainable transportation system)の確立に向けて、主に都市 鉄道の運行計画の設計と列車群の運転電力制御手法について分析を進めている。列車群の運転電力制御手法では、 回生電力量を最大化する電力制限ブレーキを提案し、実務への適用を考慮した支援システムや運転曲線を設計、そ の効果を現車試験で検証している。この手法の最大の特徴は、与えられた駅間走行時分で回生電力量を最大化でき ることにある。つまり既存のダイヤに適用可能であることから、煩雑なダイヤを有する鉄道事業者にも適用可能な 手法である。運行計画では少子高齢化社会を見据えた高齢者への着座サービスと生産年齢旅客の速達性を両立する ため各駅・路線の旅客移動断面(OD 断面, Origin and Destination)を推定し優等列車を積極的に導入する運行ダイヤの 最適化問題を扱っており、求解には最適解の保証が得られる混合整数計画法を用いている。ここでの狙いは、高齢 者は各駅停車列車を、生産年齢旅客は優等列車を利用する“住み分け”を OD 断面の分析で実現し、優等列車の導入 による旅客輸送エネルギー(kWh/人/km)を低減することである。そしてこれら 2 つの手法を組み合わせ、回生電力 量を最大化する運転曲線を前提に、各駅間の走行時分を調整する運行計画により消費エネルギー低減を図る研究を 進めている。ケーススタディとして、理想的な運転曲線を再現できる ATO(Automatic Train Operation)を有する路線 を選定し現車試験の準備を進めている。また、車輛機器の性能が向上した場合の効果、特に現在都市鉄道で普及し ているリニア地下鉄の効果を推定する数値計算アルゴリズムの設計を進めており、磁気吸引力や端効果の電磁気学 現象の再現も考慮し、走行抵抗に加味している。現在はこれらのケーススタディの検証に向けた現車試験の検討を 深度化するとともに、鉄道電力負荷を平準化し系統から見た消費電力量を低減する列車群電力制御とその運行モデ ルを数値計算で分析している。

省エネのための新しいパラメータ化法に基づく最適な列車運転曲線の設計法

ドアン ヴァン ドゥック

環境問題への関心の高まりにより、鉄道輸送に対する車両における消費エネルギーの減少を求める要求は年々増 加している。したがって、効率的にエネルギーを使用する際の戦略がさらに重要になってきており、総エネルギー 消費量を削減する列車の運転方法に関する研究もその戦略の中で必要 である。 消費エネルギーは、運転曲線に 依存する関数としてモデル化することができる。そのため時間およ びモータ駆動力といった、所定の制約下にお いて最適な運転曲線を求めることにより、消費エネルギーを最適化することができる。 しかし、駅間走行時分や モータ駆動力特性といった列車が持つ非線形特性によって求解が困難 な走行曲線とエネルギー消費量の関係を 実証する費用関数は非常に複雑である。このため、このエ ネルギー最適化問題に対する解を容易に求めることは できない。 本研究では、我々は、実行中の曲線の新規パラメータ法に基づくコスト関数と制約関数を得るため に、 (1)モデル化方法を研究に焦点を当てること、および(2)効果的な最適化手法最適化問題を解 決する。上記の 両方の問題が解決できれば、ドライバのガイダンス・システムや自動列車運転(ATO)システムは、事前に計算さ れた走行曲線を利用することができる。

快速列車導入時のエネルギー評価と旅客総旅行時間最適化の持つ意味

美浦 健

本研究では快速の導入による消費エネルギー効果とその要因について検討する。その上で通過駅の選択による省 エネルギー効果の変化について検証した。その結果、快速導入ダイヤにおける省エネルギー効果は快速列車が通過 する駅間の路線状況とその際の乗車人数に依存することを確認した。また、快速導入時の旅客総旅行時間最適化は エネルギーの観点でも省エネルギー効果が大きい手法であることを明らかにした。

生体機構を取り入れた運動制御・磁気浮上

Closed form minimum infinity-norm resolution for single-degree kinematically redundant manipulators

Didier Quirin

Redundant systems are of interest in engineering because they bring additional capability for a task completion, allowing the system to perform sub-tasks or to improve in performances. However, this also means that an extra degree of complexity is added to its resolution. For this purpose, proposed resolution schemes are classically based on the 2-norm minimization, also called pseudo-inverse, whose popularity stems from its easy analytical resolution, but suffer from not considering physical constraints, like input bounds. To tackle this issue, the infinity-norm resolution has been proposed, which determines a minimum-effort solution and take into consideration individual magnitudes and offering the full physically realisable outputs. Despite its guaranteed merits, it has only been considered for a few, low-order system because of its lack of analytical tractability. This paper proposes a novel approach on the minimum infinity-norm resolution for single-degree systems, which represent a large part of the most popular redundant configurations. This approach offers a closed-form solution allowing convenient computation and a description of the solution based on parameters of the system. Implementation of this new method is simulated on single-degree kinematically redundant systems to show the superiority of infinity-norm resolution over 2-norm resolution.

Electromagnetic Levitation Control with Sensorless Large Air Gap Detection for translational Motion Application Using Measured Current-Ripple Slope

Salman. Ahmed

In this research, emphasize is put on developing a cost effective and affordable magnetic levitation module for translational motion applications. Since air gap sensors form a major portion in the total cost of the system, removing it can allow for drastic reduction in cost. Therefore, sensorless magnetic levitation for large air gap translational motion is investigated here. Most of the research in this field has been for magnetic bearings whose system characteristics and control requirements are different from a translational moving vehicle. An obvious difference is the range of operational air gap. Furthermore, the quality of magnetic materials, in terms of laminations, saturation, etc. used is also different. Therefore, applicability of the developed sensorless methods for magnetic bearings to large air gap applications needs to be investigated. A new method has been proposed that makes use of the high resolution-single current-ripple slope detection (either positive or negative) to compensate for the duty cycle variation by exactly controlling the timings of the gate signals for a switching amplifier without the use of a voltage sensor or a dedicated sense cycle as was done in recent preceding works. Furthermore, due to temperature change, the change in resistance which induces steady state error in air gap detection is compensated by simultaneously estimating coil resistance. Stable levitation using the detected air gap signal as control feedback has been demonstrated experimentally in our laboratory.